「ちかすい」と「東北ずん子スタンプラリー」

「ちかすい」との出会い

お正月になると思い出すことがあります。

4年前、2015年のお正月、私自身が某青年団体の上の役職を務める事になり、まちづくりに対してやる気に満ち溢れていたタイミング。そんな時にBLOGOSの女子高生が主役の地域活性化をテーマにした4コママンガ「地方は活性化するか否か」が残酷で面白いという記事が目に留まりました。

記事の筆者は血を吐きながら読んだと書いてありましたが、白石市の事が描いてあるのかと思うほどの地方リアルがそこに描かれていて私も血を吐く思いで読んだものです。

その当時の東北ずん子スタンプラリーは第5回開催の準備をしていた時期でスタンプラリーを緊急雇用創出対策事業の一部として開催していたこともあって62話を読んだあたりから白石市の事というよりも自分達の事を言われているような感覚に・・・。

「地方は活性化するか否か」(ちかすい)の劇中では「事業終了とともにサイトの更新停止」となっていましたが、東北ずん子スタンプラリーも「事業終了とともに開催が不可能」となることは明らかで、その時点では2016年3月で事業終了でしたので第5回のスタンプラリーが最後になりそうな状況でした。

恐らく、このような事業というのは、最初は補助金を出すけど事業終了後はその成果を活かして独自で続けてね。というスタンスなんだと思いますが、終了後は発注側の行政も受託側の業者もその事業が無かったかのように急速に興味を失うんですよね。それでも「地方は活性化するか否か」の70話にあるように、本気で白石市を元気にしたいと思うのであれば行政頼みではなくて自分達の力で東北ずん子スタンプラリーを継続させなければと考えていました。

クラウドファンディングに挑戦

今思えば絶妙なタイミングだったと思うのですが、ちょうどその時期にmagさんから東北ずん子運営の小田さんのクラウドファンディングのセミナー(2015年1月17日開催)の案内をいただきました。その当時はイタコ、きりたんのUTAU音源製作のクラウドファンディングが成功した後でしたが、一般的にはクラウドファンディングの知名度が低かった時期でしたので、可能性は感じるものの情報が少なく、どうやって始めたら良いものか悩んでいましたのでセミナーは我々の背中を押してくれました。

その後、我々がクラウドファンディングに挑戦する前に、それまでスタンプラリーに協力していただいた皆さんを中心に白石で同様のクラウドファンディングセミナーを開催しました。

2回のセミナーと支援者の皆様のおかげでクラウドファンディングは成功し、無事6回目の東北ずん子スタンプラリーを開催することができました。この時点で東北ずん子スタンプラリーは緊急雇用創出対策事業の一部ではなく、公金を全く受け取らない東北ずん子スタンプラリー実行委員会という民間団体主催による事業に変わりました。

東北ずん子スタンプラリーは予算が付くかどうかではなく、ファンが求める限り開催することができる基盤ができあがった瞬間でした。

お金の流れを変えたい

クラウドファンディングで開催するようになった後も「地方は活性化するか否か」を参考にずん子スタンプラリーの方針を作っていきました。

第65話「ストロー」にもあるように、せっかく震災復興の為に補助金をもらったのに地元に全くお金が落ちない事業が本当にたくさんありました。(酷いものではさらに市民に入場チケットという負担を強いて開催されたイベントもありました。)

クラウドファンディングは公金ではありませんが、大半が地域外からいただいたお金という意味では流れは補助金と一緒です。せっかくいただいたお金を地域で回すようにしなければ地域は元気にならないし、東北ずん子の精神からも反することなります。そんなことから安易にネット通販や外の業者を使わず。自分達の地域でできることを知り、できるだけ地元資本の会社に発注するようにする。そして結果は決算報告で可視化させる。(市内発注率、東北発注率の公開)という方針が作られました。

目的と手法

第43話「要約すると」では「地域活性化」ってのは・・・「その地域の経済を良くする事」と言っています。

スタンプラリー参加人数は重要ですけど、最重要の指標ではなくてスタンプ設置店や地域の経済効果が上がり、地域が元気になる事が目的なはずです。スタンプラリーは「手法」。経済を良くし地域を元気にすることが「目的」。

前回第9回のスタンプラリーでは参加人数が前回よりも減少しました。確かに改善すべき事もありますが本来の目的を見失ったような手法で参加人数を増やしては本末転倒です。

参加人数に一喜一憂することなく、本来の目的を見失わないようにミーティングの冒頭で確認するなどして心がけています。

そして「白石は活性化するか否か」開催

他にもいろいろ「地方は活性化するか否か」を参考にした点は数えきれないほどありますので、現在、東北ずん子スタンプラリーが続いているのは「ちかすい」のおかげでもあります。

我々のような地域活性化についての気づきを多くの市民と共有したいと思い、作者のこばやしたけしさんをお呼びして白石市で講演会をしたいというのは前々から思っていたことでしたが、それが2018年7月10日に実現しました。

なぜ東北ずん子スタンプラリー実行委員会が作者のこばやしたけし氏の講演会を開催したのか疑問に思われた方もいらっしゃると思いますが、「ちかすい」「東北ずん子スタンプラリー」は前述したような関連があったのでした。

※なお、こばやしたけし氏は「宮城・仙台弁 単語カード」で東北ずん子のイラストを描いて商品化してます。それを知った時はいろんなところでつながっているなぁと感じたものです。